特集・競馬新聞 第1回
監修: 宮崎秀一(日刊競馬)   取材と文: 佐藤十枝(当サイト管理人)
協力: 日刊競馬 http://www1.sphere.ne.jp/nikkeiba/
昨秋から始まった3連単の発売で、ますます競馬(馬券)が楽しく、そして難しくなりました。みなさんは馬券検討の材料として何を使っていますか。私はもちろん競馬新聞です。(競馬新聞=競馬専門紙。ここではこのように定義づけします)。スポーツ紙の競馬面にももちろん、その日に行われるレース及び、翌日の重賞レースの情報が載っています。しかし、競馬新聞にはスポーツ紙とは比べ物にならないほどの、たくさんの情報が、しかも、馬券必勝に欠かせないデータが、たくさん詰め込まれているのです。
 
現在、たいていの競馬新聞は410円、それに対してスポーツ紙は130円。1カ月、土日が4回ずつあるとして、8日間。毎回競馬新聞を買うと3280円/月、スポーツ紙なら1040円/月。その差は2240円。少ないおこづかいで競馬を楽しんでいる、おとーさんたちにとっては切実な問題でありましょう。スポーツ紙なら、ほかにも野球とか、格闘技とか、芸能とか、テレビ欄とか、読むところがたくさんありますし、正直、悩むところです。
 
ならば、徹底的に競馬新聞を読みこなし、使いこなそうではないか。たしかに、競馬新聞を完全解読するのは難しい。とくに馬柱(うまばしら、と読みましょう)の中は、わけのわからぬ数字とカタカナの羅列ばかりで、ちんぷんかんぷんだし、調教が馬の善し悪しを判断するのに大事だってことはわかってるんだけど、調教タイムだけ見ても、いまひとつよくわからない。それに、厩舎のコメントだって、ホントに全部信じていいの??? 
 
そうなんです。なにごとにも“コツ”というものがあるはずなのです。1日410円の初期投資をムダにはしない。そんな気持ちで、競馬新聞のこと、いろいろと探ってみようと思います。
 
第1回 まずは競馬新聞の読み方をおさらい!
 
私が競馬を始めたのは、小学校2〜3年生の頃でした。日曜日のメインレースを予想して当たると、オッズに関わらず、父から100円のおこづかいをもらっていました。あまりによく当たるので、みかねた母が「もうやめなさい」と言ったので、おこづかい制は廃止になってしまいましたが。そのころ私は、いっちょまえに競馬新聞をみて、馬券の予想をしていました。馬柱の見方も誰に教わることもなく、自然と理解していったように思います。子どもの柔軟な頭なら、競馬新聞を解読し、馬券を的中させることなど、たやすいことだったのでしょう。いま、その柔軟性と記憶力があればいいのになぁ。
 
さて、本題。競馬新聞というのは主に「馬柱」「調教欄」「厩舎コメント」の3本の柱で成り立っています。
 
馬柱へ→
調教欄へ→
厩舎コメント→
 
 

特集・競馬新聞  第2回 厩舎コメントについて
前回までに、競馬新聞の馬柱と調教欄について細かく解説しました。競馬初心者や、たまにしか競馬をやらないという方からは「目からウロコ」「今までこんな特集なかった」と楽しく読んでいただいたようですし、また、競馬のことをよく知っている人にとっても「今さら聞けなかった」ことが明らかになったのではないかと思っています。(実際自分も初めて知ることがありましたから)
 
さて、特集の第2弾として、今度は「厩舎コメント」について書いていきます。馬柱や調教欄と違い、直接データに結びつかないし、読んだとしてもすぐに明確な答えと結びつかない。そのあたりが厩舎コメントを利用するにあたっての難しいところではないでしょうか。いったい何をどう取材して、どう解説すればいいのか、とても悩みました。そして、いろいろ考えた結果「やはり現場のトラックマンに話を聞いて、答えを導き出そう」という結論に至ったのです。
 
人選について、監修の宮崎氏に相談すると、「じゃ、イヅマとシゲがいいんじゃないか。二人とも優秀なトラックマンだよ。それに仕事のタイプがまったく違うから」と、日刊競馬の伊妻正裕(いづま まさひろ)氏、競馬ブックの林茂徳(はやし しげのり)氏を推薦してくれました。と、いうわけで、今回はワイド中継に出演経験のないお二人のトラックマンにインタビューさせていただきました。
 
まずは伊妻正裕氏のお話から。
【プロフィール】
1971年2月8日生まれの34歳で、出身は山口県山口市。進学校である県立山口高校を卒業後、大学に進学・・・するつもりが、なぜか夜の街へ。しばらくバーテンやボーイの仕事をしていたそうです。本人曰く「この頃が僕の一番のヤンチャ時代」だとか。競馬はそのころに覚えたそうで、最初にハマった馬はヤエノムテキとヤマニングローバル。その後、結婚が決まり“堅い”仕事を探していたところ、当時働いていたお店の店長さん(競馬好き)がいつも読んでいた『日刊競馬』の片隅に“社員募集”の告知があり、店長さんから「お前、受けてみれば」と言われて入社試験を受けたのだそうです。そして無事、合格。2年間の編集業務を経て、トラックマンになりました。
【トラックマンの仕事】
伊妻氏はここ数年、夏場の4ヶ月間を北海道(主に函館)での取材にあたり、そのほかの季節は美浦トレセンで取材をしています。通常、月曜日は休み、火曜日の夕方には美浦の支局(兼、寮)に入り、“予習”(下調べなど)。水曜日は朝、調教スタンドで調教師や厩舎関係者の話を聞いて回ります。だいたいの取材が終わったあと、その週のレースに出走予定の馬をまとめた“メンバー表”(想定メンバー)を作り、午後はそのメンバー表を持って担当厩舎を回りさらに深く突っ込んで取材。木曜日の朝もまた調教スタンドで取材。取材の後は支局に戻って、“厩舎コメント”の整理(打ち込み)をします。金曜日の朝も美浦に残り、次週の予定などを聞いて回るそうです。とりあえず、ここでひと息。午後には川崎の自宅に戻り、家族とのひとときを過ごします。そして土曜日と日曜日はもちろん競馬場へいき、レースの展開をとったり、記録をつけたり。また、HP「次走はバッチシ」の取材もしています。
 
日刊競馬ホームページへ
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【担当厩舎】
基本的には美浦の27厩舎。秋山、伊藤正、岩戸、大江原、尾形、奥平真、奥平雅、久保田、坂本、鈴木伸、清水美、高木、田子、田中清、谷原、柄崎、土田、中野栄、二ノ宮、根本、藤沢和、藤原辰、堀井、松山、南田、宗像、矢野照厩舎・・・列挙すると相当なボリュームになりますが、そのほかにも相沢、萩原、河野、後藤、石毛厩舎なども頻繁にコンタクトを取るそうです。残念なことに、担当厩舎以外は“厩舎コメント”として活字にはならないそうですが、それでもいい話が聞けたときはキッチリ予想に反映させます。夏場は関東馬の他、すべての関西厩舎を担当。打ち込む“厩舎コメント”の数は、土日で200頭を超えるのだそうです。土日の出走頭数をだいたい300頭とすると、全コメントの3分の2を担当している計算になります。
【騎手】
一番気が合うのは高山太郎騎手。他には菊沢隆徳騎手、勝浦正樹騎手、伊藤暢康騎手、木幡初広騎手、松岡正海騎手など。名前を見てもわかるように、夏場、北海道を主戦場としている騎手がほとんど。
【仕事のスタイル】
「僕は競馬が好き、というよりも、馬券が好きなんです。だから馬券を当てたい。特に“穴”を取りたい」という伊妻氏。「基本的には自分の耳で聞いた情報以外は信用しない」と、取材中はとにかく歩き回って、より多くの情報を収集します。美浦トレセンは100を超える厩舎があり、つまりは100人以上の社長(=調教師)がいるところ。「正直言って、苦手な人もいるし、会話すらしてくれない調教師もいるけど、僕は打たれ強いので平気」と、毎週毎週、膨大な量の取材をこなしています。
 
さて、実際に新聞を作る立場にいる伊妻氏に、競馬新聞の厩舎コメント欄の活用の仕方を聞いてみました。
 
伊妻氏「厩舎コメント(日刊競馬では<うまやのはなし>というタイトル)は、要するに公式コメントとして捕らえてもらった方がいいと思います。言い方は悪いけど、当たり障りのないコメントが多い。決して間違ったことや、ウソは書いてないけど、逆に、書けないことは書いてありません。書けないことというのは、例えば脚に不安があるとかね。不安があっても、レースにいけば走れる程度の不安、その程度のことは頻繁にありますから。こればかりは調教師の考え方がそれぞれ違うので、トラックマンの立場からは何も言えません。“書かないでね”といわれたら、書かない。ファンの立場からすれば、もどかしいというのもわかります。そこで、僕が注目してほしいのは<うまやのはなし>の馬名の下にある〔要注意〕〔差なし〕〔侮れぬ〕〔気配注〕〔連下級〕〔気配鍵〕〔着か〕などの短いコメント。実はこのカッコの中には、担当トラックマンの気持ちが込められているのです。たとえば調教師や調教助手の話の内容がよくても、このカッコの中が〔着まで〕とか〔連下に〕と、あまり気のないコメントなら、馬の状態はいまひとつかもしれない。逆に、関係者の自信度が大したことないように思えても〔侮れぬ〕〔要注意〕とあれば、ぜひ注目してほしいのです」
 
日刊競馬紙面・<うまやのはなし>欄へ
 
「あとは、時計班、想定班に関わらず、それぞれのトラックマンが何を得意としているかを知ることですね。例えば時計班なら、どのコース、どの条件の馬を専門に採時しているか。想定班は、どの厩舎を担当しているか。各紙のホームページなんかをみると、そういう情報が載っていたりするのでチェックしてみてください。ちなみに日刊競馬では以下の通り」
 
※日刊競馬トラックマンの担当コース・担当厩舎(つながりの深い厩舎)
 
時計班  
宮崎秀一氏(チーフトラックマン) 南ウッドチップコース
篠崎典行氏 南ダートコースと芝コース
岡本幸一氏 南ウッドチップコース
出口滋氏 坂路
佐藤達夫氏 北馬場全コース
小木曽大祐氏 南ウッドチップコース
久保木正則氏 南ウッドチップコース
   
想定班  
桧原正行氏 矢野照、清水美、岩戸、伊藤正、藤沢和
山口高司氏 上原、杉浦、高橋祥、中野隆、後藤
矢沢正弘氏 古賀史、的場、手塚、佐藤全、堀井
植木靖雄氏
伊藤圭、加藤征、田村、勢司、清水利
黒津紳一氏 大久保洋、阿部、高橋裕、国枝、畠山吉
志村竜一氏 二本柳、西塚、戸田、和田、柴崎
郡和之氏 増沢、本郷、保田、加賀
座右の銘は「人生は一度きり。後ろを振り返っても仕方がない」という伊妻氏。いつどこで会っても笑顔の絶えない人です。「とにかく人が好き。人ごみ、満員電車も大好き。一人になると、さみしくて耐えられないから、そんなときは出かけていってナンパをします」。えっ!ナンパ?「そう。ナンパというのは、まったく知らない人に声をかけて、いかに相手の興味を引くか、足を止めてもらうか。トラックマンの仕事と共通する部分はあるんです。だから、若いトラックマンたちにも、ナンパをしろよ!と勧めます。成功率ですか?若い頃と比べるとガクンと落ちましたね(笑)。でもナンパなんて、うまくいかなくて当たり前なんです。当たって砕けろ!この仕事も同じですよ」。
 
最後に、伊妻氏自身の馬券の買い方を聞きました。
「情報8割、あとは返し馬を見ます。パドックは・・・見てもわからないと思うので、見ません。僕は想定班なので、情報で馬券を取りたいんです」と、キッパリ!お見事!
 
伊妻氏は一昨年まで、夏の北海道版に超ハジけたコラムを連載していましたが、編集長が変ってそのコラムは打ち切りに。ハジけたコラムの必要性はともかく、個人的にはあのコラム、また読みたい!

 
続いて、競馬ブックの林茂徳氏にお話を伺いました。
 
【プロフィール】
1968年12月28日生まれの36歳。栗東トレーニングセンターのある滋賀県出身ということですが、競馬関係者というわけではありません。教職に就かれていたというお父様の影響で、自身も大学は教育学部へ進んだそうですが、当時在籍していたボート部の先輩に祇園のウインズに連れていかれ、そこが人生のターニングポイントに。「初めて買った馬券がサクラスターオーの勝った菊花賞。その年のJCに来日した牝馬トリプティクには、バイト代を全額突っ込みました(4着)。その後は、転がり落ちるように競馬にハマっていきました」。以来、数々の競馬に関する本を読み倒し、『週刊競馬ブック』との出会いもその頃。大学を5年半かけて卒業し、『競馬ブック』に入社、栗東で2年勤務した後、美浦へ。
【トラックマンの仕事】
数年前までは伊妻氏同様、夏場は北海道を拠点にしていたそうですが、4年前より『競馬ブック』で本誌予想を担当するようになり、年間を通して美浦で取材するようになりました。夏場は福島、新潟へ週末だけ出張するというパターン。現在は古馬の500万、1000万、1600万条件と障害レースの本紙予想担当です(ちなみにオープンと新馬は松本憲二氏、未勝利は吉岡哲哉氏が担当)。
林氏の1週間はまず、月曜日に自宅前のコンビニで『週刊競馬ブック』を購入するところから始まります。その週の取材に向けて、下準備は欠かしません。それでも基本的に月曜、火曜は休日なので、家族との時間を大切にしているそうです。水曜日の早朝、美浦へ入り、午前中は調教スタンドで取材、取材が終わると想定班の基本作業である“メンバー表”作り。午後は4時過ぎ、厩舎別に整理された追い切り時計の一覧表などを持って担当厩舎を回ります。木曜日の朝は調教スタンドで次週の取材など。その後、美浦の支局に戻り、取ってきた談話(厩舎コメント)を打ち込んだあと、午後からは予想(印を打つ)に専念するそうです。金曜日は朝、<朝駆けナマナマ情報>の取材をし、10時頃に出馬表が出るのを確認して、一旦終了、東大和市の自宅に戻ります。そして土曜、日曜は競馬場へ。『週刊競馬ブック』成績表の[次走へのメモ]の執筆を担当。1日12レースのうち、ほぼ半分を書くそうです。「この[次走のメモ]は、関係者がよく読んでいるので、とにかく慎重に書くよう心がけています。まずレースを見て、確定後、記者室のモニターでパトロールフィルムを見て、さらに先輩の吉岡さんなどと不明な点を確認しあって、それから書き始めます」(林氏)。
【担当厩舎】
以前は多くの厩舎を担当していたそうですが、現在は相沢、浅野、河野、小島太、中尾銑、稗田、堀井厩舎の計7厩舎。中でも小島太厩舎とのパイプは、業界一と言っても過言ではないでしょう。
「水曜日の夜は、小島調教師の自宅(厩舎)で夕食をごちそうになる機会も多く、いろいろと話を聞かせてもらっています。ジョッキー時代には相手にもしてもらえないほど雲の上の人でしたが、97年に厩舎を開業されるときに高柳(利雄)先輩に連れられ、正式に紹介してもらってご挨拶し、以来、担当になりました。小島調教師はホースマンとして、経営者として、言葉では言い尽くせないほど素晴らしい人。騎手としての財産もすごいし、親分肌。とにかく、この人には何をやってもかなわないという存在です」。
【仕事のスタイル】
「とにかく歩き回って情報を集めまくる」タイプの伊妻氏とは対照的に、一箇所集中的な取材スタイルを持つ林氏。「今は本紙担当ということもあり、予想に重点を置いて仕事をしています」という彼の必携品は新聞を切り貼りして作るノート。B5サイズのノートに1レースから順に新聞を切り貼り、レースごとに馬体重、レースの展開、着順、タイム、レースやパトロールフィルムを見て気づいたことなどを書き込んでいきます。「閻魔(えんま)帳みたいなものですね。このノートがあると、開催ごとの特徴などがつかみやすいし、目についたことや、印象的なできことなどを書き込んでおけば、次走以降の予想に必ずフィードバックさせることができます。とくに平場のレースの予想には、このノートが欠かせません」。1年分は常に手元に置いておくようにしているのだとか。「このノート作りは皆さんにもぜひお勧めしたいです。ただ、全レースをノートに切り貼るには、新聞が2冊必要だという難点もありますが・・・」。
 
林氏に厩舎コメント欄の活用法を聞く前に、『競馬ブック』の厩舎コメント欄についての説明をしておきます。まず、<本紙の見解>。これはそのレースの本紙予想の人が書きます。つまり、松本憲二氏、林氏、吉岡哲哉氏などの見解。そして厩舎関係者コメントと<ポイント>。厩舎コメントは日刊競馬同様、各担当トラックマンが取ってきたコメントをまとめてあります。伊妻氏は、「日刊競馬では馬名の下の〔 〕の中のコメントを重視」と話していましたが、競馬ブックでは特にそいういった意味は含まれていないとのこと。<ポイント>は皐月賞は全馬について書かれていますが、通常の重賞レース、特別レース(平場のレースはなし)については本紙の印(◎○▲△・・・)のついた馬のみ。本紙予想の担当者が口頭で伝えたものが、編集担当者(関谷荘一氏、平本弘氏、和田章郎氏、井出力氏など)の手によって文章にされるということです。
 
競馬ブック紙面・厩舎コメント欄へ
 
日刊・伊妻氏は「<うまやのはなし>は公式コメント。書かないでといわれたことは書かない」と話していましたが、林氏もまた「厩舎コメントには書けないこともある」といいます。「もちろん“なあなあ”でやっているわけではないが、馬は生き物だし、馬の持ち主(オーナー)の存在は尊重されるべき。公にできない部分に関しては、できるかぎり予想に反映していきたいと思っています。例えば、実績上位の有力馬で、印の低い馬には、必ず何かよくない材料があったりしますから」。
 
では、競馬ブックの場合、紙面のどのあたりに注目すればいいのでしょうか。林氏は「まず、ウチはもともとが関西紙なので、関西馬のコメントが特に充実しているという点が第一。それから馬柱欄の右上端に太文字で書かれた〔上位拮抗〕〔混戦模様〕〔平穏〕などの一言には、そのレースの本紙予想者の考えが集約されていると思ってください。たとえば〔上位拮抗〕〔平穏〕などは印どおりに堅く収まりそう、とか。〔大駆警戒〕〔高配含み〕なら荒れそうとか。あんまり使いたくないけど〔波乱必至〕は、ちょっとお手上げ的なニュアンスも含まれていたりするのです」と教えてくれました。予想が当たらなくても、このコメント通りの決着になることは多いのだそう。
 
競馬ブック紙面・馬柱欄へ
 
「コメントといえば、某夕刊紙の週末版には厩務員さんや調教助手さんのコメントを中心に載っているものがあります。他社の宣伝をするわけではないですが、僕もこの新聞を買って読みます。競馬では厩務員さんの存在は大きいですから。経済的に許せば、こうやっていくつかの媒体を読み合わせて予想の資料にするのもいいと思います」という林氏。「競馬ブックホームページの検索サイトもお勧めです。有料ですが、絶対にソンはさせません。iモードサイトでは週末だけでなく、追い切り直後からその週の有力馬を紹介していますので、そちらもぜひ」。
ご自身の馬券の買い方については「予想のポリシーにもつながりますが、的中率よりも回収率を重視します。つまり、買いたい馬(本命にしたい馬)が2頭いたとしたら、僕が選ぶのはたいてい人気のない方(オッズの高い方)です。トータル的にみれば、やはり穴党でしょう。馬券は単勝派です」。単勝オッズが10倍ぐらいのところを本命でスパッと当てたときが、すごく快感なのだそうです。
 
競馬ブックホームページ
http://www.keibabook.co.jp/homepage/
 
最後に、林氏は競馬新聞を作る立場として「予想を当てるのは大事ですが、それよりも僕らは競馬新聞を買い、馬券検討をするファンの人たちに対し、良質な情報を提供できるか、ということが重要だと思っています。あまり当たり外れにこだわりすぎると、ファンの声が聞こえてこなくなるような気がするからです」と話してくれました。

さて、お二人に厩舎コメントのみどころなど伺いましたが、いかがでしたでしょうか。関係者の話は、もちろん欠かせない、しかしそれ以外にも見るべきところがあり、しかもそれは意外にも短い一言で表されているということがわかりました。
 
さて、ここで、トラックマンについて少々説明をしておきます。新聞社や出版社には、現場で取材する記者とそれを編集する役割のスタッフが存在しますが、競馬新聞も然り。社によっては、トラックマンと編集を兼務する人などもいますが、基本的には作業が分担されています。そして、取材記者(=トラックマン)が“時計班”と“想定班”に分かれていることはご存知でしたか。時計班は調教スタンドに座って、ひたすら調教を見続け、採時。想定班は調教を見る暇もなく歩き回り、関係者の話を聞いて回る。現場を知る私たちにとって、これは当たり前の事実ですが、もしかすると、そうではないと認識している人のほうが多いかもしれません。本当なら、調教を見て、調教タイムを計って、その上で関係者に取材にいくというのが、理にかなった取材方法だと考えるのが普通でしょう。しかし現在トレセンには2000頭ほどの現役競走馬が毎日調教をし、少なくても1つの競馬場ごとに、土日合わせて300頭もの馬が競馬に出走するのですから、時計班と想定班が別々に行動しなければ、とても今のように情報がたくさん詰まった競馬新聞は作れないのです。トラックマンとしてどちらが優位だとか、そういったことはありません。競馬新聞を読むにあたってはまず、その点を理解していただいたきたいと思っています。
 
毎週、週末になると駅の売店、コンビニなどの店頭にずらりとならぶ競馬専門紙。それぞれに個性があり、1紙を選ぶのはなかなか難しいと思います。それでも「どれを見ても同じだよ」とは考えず、時間をかけてでも自分の馬券スタイルに合ったものを探してみてはいかがですか。切り貼りするもよし、色ペンで書き込みながら予想を整理するもよし、お気に入りのトラックマンを見つけるもよし、レイティング(能力値)などを参考にしてもよし。みなさんの楽しみ方を、どんどん模索してほしいと思います。
 
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