美浦村に移り住んで迎える初めての冬。東京の街の華やかなクリスマスイルミネーションを想像し懐かしく思いながらも、今となってはここの静けさのほうが性に合っているのではと感じる今日この頃です。
先日、騎手を引退したばかりの板倉真由子(以下、マユコ)に会いました。最初はいつものように女同士かしましく(年齢は10歳ほど違うのだけど)世間話をしていましたが、次第に話題は引退のことに。今さら辞めた理由なんて聞いても・・・と敢えてそのことに触れないでいたところ、「ホントは去年で引退するつもりだったんだ」とマユコがポツリ。だけど、いろいろ考えた結果もう1年だけやってみようと思い直して騎手免許を更新したのだそうです。本当に苦しかったのはそれからで、マユコいわく「人生でこんなに悩んだことはない。髪もいっぱい抜けたし、お酒も飲まずにはいられない、そんな日々だった」と・・・。
そんなマユコの悩みを聞き、支えとなったのは騎手仲間でもなくトレセン関係者でもない、仲のいい女友達。そして彼氏の存在。特に彼には「なんで私だけこんなに悩まなきゃいけないの?」などと今思えば理不尽なグチをぶつけまくっていたと言いますが、その度に「で、どうしてお前はそんなにマイナス思考なワケ?それじゃダメだよ」と励まし続けてくれたそうです。
また、マユコを支えてくれた人といえば兄弟子の横山典弘騎手。兄弟子とは言っても彼女にとっては尊敬する大先輩であり雲の上の人だから、騎手を辞めるという報告を何と言って切り出したらいいもんかとひどく悩んだそうです。それでも勇気を出して「引退することになりました」と打ち明けたところ返ってきた言葉は「わかった。バイバーイ!」。ああ、いかにもノリさんらしい。でもこの一言にノリさんの妹弟子を思う気持ちが詰まっているってこと、マユコにはちゃんと伝わっているのです。
「騎手を辞めても馬乗りを辞めるつもりはまったくなかった」というマユコは、今月1日付けで前田禎厩舎の調教助手として働き始めました。調教の時にかぶるヘルメットも騎手の青帽から助手の黒帽にチェンジ。「この黒帽に抵抗はない?」と聞くと「最初はあったけど今はもう慣れた。でも知り合いとすれ違ってあいさつしても気づいてもらえないことがある」と笑っていました。
「とにかく人の温かみを感じた1日だった」という引退レースの日、パドックでファンの声援を受け、レースのあと騎手仲間から花束を贈られ、取材陣に囲まれているうちについにこらえきれずに泣き出してしまったそうです。「ファンの人たちをはじめ、まわりの人たちから声を掛けてもらうことがこんなにも心強いものだということを最後の最後に知ることができてうれしかった」というマユコからファンのみなさんには「これからも競馬を愛してね」というメッセージを託されました。これからは裏方としてがんばっていく、というマユコにみなさんからもぜひ応援のメールを送ってやってください。それでは。
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