長岡一也の岡目八目 第26回

競馬サークル、年の瀬の話題といえば、年度代表馬の行方。どうやって決定されるか詳しいことは、朝霞市の島田隆史くんの質問に答えておきましたので、そちらを見て下さい。いずれにせよ記者投票で決まるので、その年によっては多少のぶれを感じるのは仕方のないことと思っています。

平成11年、エルコンドルパサーが年度代表馬に選ばれたとき、実は、記者投票ではスペシャルウィークの方が得票数では上回っていました。しかし、過半数を獲得してはいなかったため、各記者クラブの代表者による実行委員会にその結果が委ねられ、凱旋門賞2着が大きく評価され、春秋の天皇賞にジャパンCを勝っていたスペシャルウィークを押さえてエルコンドルパサーが年度代表馬に逆転選出されたという経緯でした。

この決定には議論百出、その結果、現在の選出方法、得票数の1/3に達していればそのまま選ばれ、そこに達する馬がいない場合のみ、選考委員会が開かれ、最も得票数の多い馬についての審議を行うということになっているのです。

しかし、なるべくなら、年度代表馬は過半数を獲得するほどの、誰の目にも納得する馬が選ばれてほしいものです。

今年は、今のところG1競走2勝馬が4頭もいます。トロットスターテイエムオーシャンクロフネジャングルポケットです。

あと有馬記念が残っていますが、大記録のかかるテイエムオペラオーがラスト・ランを飾ることにでもなれば、どうなるのか、年度代表馬の行方は混沌としてきます。ジャパンCが終わり、今年も日本馬の圧勝でした。国際的視野に立つと、ジャパンCと有馬記念の比重は、今では前者の方が重くなっています。単純に考えればジャングルポケット1歩リードの雰囲気ですが、オペラオーも去年の勝ち馬、有馬記念如何では年度を通して連対100%となり、見捨てられません。


長岡一也の岡目八目 第27回

有馬記念の顔ぶれが見えてきた今、その瞬間はそれなりの気分になるとはいえ、今年はわくわくするようなことはありません。どうも香港の国際レース、そして、最終週の2歳戦の方が話題性があり、競馬は先の楽しみのないレースでは面白くありません。

まず、香港。G1馬4頭を含む6頭もの遠征とは恐れ入りました。今や国際レースの魅力にまさるものはないということです。

この香港、そしてシンガポール、さらに西へ行ってドバイ、それに日本を結んだアジアサーキットという構想があり、ドバイワールドカップを発展させたプランは、少しずつ現実味をおびています。

伝統の浅い地域の方が、思い切ったことが出来るということでしょうか。もしかしたら、こうした競馬の大波は、あっという間に現実を呑み込んでしまうものかも知れず、香港での日本馬の成績は、今後に大きな意味を持つようになるような気がしています。

それから、2歳戦。昔は朝日杯が終われば、もう来春に思いは移っていたものでした。

ところが、本当の見所は最終週。ラジオたんぱ杯2歳SとホープフルSで何が頭角をあらわすかに関心が移っています。それぞれの2000m戦こそ、来春への期待に結びつくものという観念で一致していると言ってもいいでしょう。

昨年は、ラジオたんぱ杯組からジャングルポケットクロフネというG1・2勝馬が出てきました。それに引きかえ、朝日杯の覇者は、去年のメジロベイリーからさかのぼることフジキセキに至るまで7年間、3歳の春を無事に迎えたものはただの1頭もいないという有様です。これでは、どうしようもありません。アドマイヤドンに対して、アドマイヤマックス、さらには武豊のモノポライザーといったところが早くも立候補していますが、これらが最終週でどんな結果を出すか、これならわくわくするというものです。


長岡一也の岡目八目 第28回

うすうす予感はしていましたが、それが現実となると別で、香港での日本馬の快挙には興奮しました。実況で伝えるラジオたんぱの藤田、山本両アナウンサーの張り切った声に思わず、こちらも身をのり出していました。

先鞭をつけたステイゴールドの勝利。国際4レースの中でも、この香港ヴァーズはまず勝ってほしいレースでした。多くが望んだ現役最終戦でのG1制覇、そんな思いを叶えてくれた武豊とステイゴールドに、どれほどの称賛を送ったらいいのか。いや、それよりも競馬でこんな満たされた思いにさせてくれたことに感謝しなければなりません。

そして、香港マイルのエイシンプレストンの勝利。最後の100mは完全な独走で、この3馬身1/4 の着差は、世界レベルでも評価されるものでしょう。最近のエイシンプレストンは、国内では、マイルより距離の長い方がいいという感じでした。これが、クッションのいいシャティンのマイルに合っていたと思えてなりません。

3つ目は、アグネスデジタル。エミレーツ・ワールドシリーズの最終戦、香港カップのメンバーはかなりのものでした。ゴールまで息の抜けない厳しい戦いを制した感激は、なかなか鎮まらず、なんという馬なんだという思いが込み上げていました。

日本馬のレベルの高さ、今さらそれについて述べる必要もなく、アウェーでの勝利こそ日本の競馬の目標という、はっきりした形がそこにあるだけです。ただ、それだけでいいのかという問いについては、軽々に言葉をそえることは止めておきましょう。そういうことよりも、世界の側から日本を見る目に大いなる修正を促す方に力を注ぎたく思っています。国際レイティングに変化が起こらなければおかしいです。

それにしても、今年の年度代表馬はどうなるのでしょう。これは大変です。有馬記念が決め手になるのでしょうか。


長岡一也の岡目八目 第29回

明らかに時代が動いた今年の有馬記念でした。そこに、秋の天皇賞馬もジャパンC優勝馬もいなければ、強い3歳世代の菊花賞馬が勝っても、終わってみれば、それが自然の成り行きとも受け取れました。

多くがテイエムオペラオーを支持したのはノスタルジアだったのか。競馬にも、いや、競馬だからこそ、そうした思いがあったのでしょう。

とにかく、テイエムオペラオーメイショウドトウも、ターフを去ることになりました。1年半という期間は、それ自体、大して長くもないのに、過ぎてしまえば、2頭の天下は長かったという印象が残りました。

21世紀最初の1年は、私たちが望む姿に一歩踏み出した1年でした。ジャパンCその年のダービー馬が初めて勝利したことで、そのまま世界へ直行してほしいという欲求が生じ、その感情に火を注ぐ香港国際G1での日本馬の3連勝という快挙。じっとしていられない思いでその次が頭に浮かんだのではないでしょうか。

国際競走の持つ魅力、それを知った今、ワールドワイドでしか答えは出せないという観念からぬけ出せなくなりました。

広く世界を見るとき、ドバイ、香港、シンガポールといったアジア圏の活気に触発されます。この中で特に、香港、シンガポールは日本を1つのモデルと見てきた地域です。

これら地域の最近の成功ぶりを見て、日本も負けてはいられないという思いになってしまうのは、どういうことでしょう。

ただ、日本には、それらの地域と異なり、馬産という大きな問題をかかえています。国内のバランスを考えながら、少しずつ世界のステージにという目標に向かわなければなりません。レースのレベルが高くなることと、馬産の経済環境が改善されることとが、両輪となって前進していかなければならず、新しい年の大きなテーマとして見ていくべきでしょう。


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