長岡一也の岡目八目 第30回

皆さんの投票で決めた“中央競馬ベストレース・オブ・ザ・イヤー2001”には、ジャパンCダートが選ばれました。第2位がジャパンC、第3位がエリザベス女王杯という決定を見て、昨年1年がどんな年であったかが分かります。この種の企画は、以前私がラジオたんぱで実況をやっていた頃に、ある期間実施していました。

その頃のベストレースには、ダービーか有馬記念、稀にジャパンCか菊花賞と決まっていて、この傾向が大きくくずれたことはありませんでした。

時代の流れ、今の日本の競馬に何が望まれているかを感じます。

今回の投票で上位に入ったレースの中に、武蔵野SというG1でないものがランクインしていたように、とてつもなく強いと思わせる勝ち馬の出現こそ、多くが待望していることであり、その勝者クロフネに、海外での活躍をと熱望した様子がはっきり見て取れました。ジャパンCダートの勇ましい勝ち方は、正にそれに拍車をかけることになっていたのです。

残念ながらクロフネの引退によって、その願いは届かなくなりましたが、ジャングルポケットはじめ、ドバイ遠征組にその思いはバトンタッチされています。

いくら国際レースであろうとも、今や、アウェーでの勝利でないことには納得しないところまで来ています。

その昔、世界で通用する強い馬づくりをスローガンに始められたジャパンCも、今年が22年目、ジャパンCダートも誕生して、日本のサラブレッドも世界レベルに到達したと見ていいでしょう。世界もそれを認めています。その意味でも、今年は大切な年になっていると言えます。暮れの香港国際レースでの大勝は、強力な後押しになり、確かに世界への弾みになりました。競馬のスポーツ性がこんなに注目されたことはありませんでした。


長岡一也の岡目八目 第31回

新春を迎えて、馬の引退式が続いています。ダイワテキサスに始まり、先日はテイエムオペラオーメイショウドトウ、そして20日にはステイゴールド。これだけ集中するのも珍らしいことです。完全にひとつの時代が動いたということです。

この馬の引退式、古くは35年前のシンザンから以後、かなりの数の司会をやってきました。今のようにターフビジョンの無い頃は、スタンド上階の実況放送席から下の様子を見ながら御案内をしたこともありましたが、今は映像と連動した形式に定着しています。

それに、馬が入場してくるときには、G1レース用の音楽が流され、式の進行もパターン化しました。

以前は、入場用の音楽から、馬を紹介するときのバックで流す音楽、それに退場するときのものと、全てこちらにまかされていて、その選曲に頭を使ったものでした。例えば、トランペット協奏曲のようにのびやかな澄み切った旋律、静かに蹄跡を回想するときにはアンダンテ、退場するときには未来への希望をつなぐアレグロの躍動感といったものを中心に考えていましたが、 ある時、競馬場の担当者と意気投合し、ビートルズをやったことがありました。

入場は「ヤァ、ヤァ、ヤァー」、蹄跡を振り返るときは「ザ・ロング・アンド・ワイディングロード」といった具合。これはかなりの冒険でした。

競走馬にも個性があり、どうニックネームをつけるかも、同時に頭を使ったもので、それによって選曲の方向づけもできたことがありました。

今から思えば、それもこれも懐かしいことばかりで、パターン化された現在の引退式を見るにつけ、もうひと工夫あってもいいのではないかと思っています。特に、折角のことですから、流す音楽でより効果を上げるやり方に戻してくれないものかと願っています。


長岡一也の岡目八目 第32回

東京、京都、それぞれの第1回の開催が終了したところで、この春の中央競馬が見えてきました。

年が明ければ、まず話題はクラシック前哨戦に向かう3歳馬。昨年を終えたところでは、次の戦いをもう一度見てみないことにはその先を考えることはムズカシイという考え方でした。その点では、1年前とは大違いです。

ところが、京成杯とシンザン記念が終わった時点で、ますます混迷を深めていくではありませんか。

ローマンエンパイアヤマニンセラフィムが同着で勝利を分け合い無敗を守った京成杯が、正に象徴的。もう一度やってみないことには結論は出ないという、この流れこそ今年のテーマとなっていくようです。

シンザン記念のタニノギムレットにしてもこの先に期待を抱く勝ち方でした。成長力のある血統でもあります。

そして、若駒ステークスを勝ったモノポライザーがこれに加わります。こちらは3戦全勝、武豊騎手の騎乗優先を考え、重賞へのチャレンジは先のばしに来ました。若駒ステークスの勝利で、次ははっきりクラシック前哨戦に出走し、表舞台に登場します。

この他、2勝して無敗の馬もいるこの春、どうなるかどうなるかと思いをめぐらせるうちに、有力馬に数えるものがふくらむ一方になってきました。

2歳チャンピオンの登場を前にこれだけの話題があるというのもうれしいことで、この先にどう眼力を効かせるか、楽しみです。

ローマンエンパイアヤマニンセラフィムの京成杯組は、例年なら他に一歩ゆずるのですが、今年は東京の2000mだったところに大きな意味があります。

シンザン記念のタニノギムレットは、マイル戦よりも距離が伸びての真価の方に興味がある馬。モノポライザーを加えた顔合わせが、とりあえずは第1ラウンドでしょう。


長岡一也の岡目八目 第33回

先日、恒例のJRA賞の授賞式がありました。祝賀パーティーは昨年から立食形式になり、自由に動き回れるので話が弾み、時間が足りないくらいでした。

今回特に目を引いたのは、年度代表馬ジャングルポケットをはじめ、最優秀2歳牡馬アドマイヤドン、最優秀4歳以上牝馬トゥザヴィクトリーと3頭を生産したノーザンファームの吉田勝美氏が、何度も紹介されていたことです。現在制作中の「海外G1レース年鑑」というビデオソフトの中で、吉田さんのインタビューを入れることになっており、この日にお願いしました。

ドバイ、香港の国際競走で好成績を上げた1年だっただけに、セレクト・セールなどで力を入れてきた生産者の一人として、先行きに明るいものを感じ取った1年であったようでした。日本調教馬、及び日本生産馬の海外での活躍は、単にそれだけのことではなく、海外のホースマンの目を日本産馬に向けさせる力となります。事実、北海道で行われる馬のセレクト・セールには、海外からの参加もあり、購入される頭数も増えてきました。海外に遠征して活躍することは、生産界にとって追い風になる部分もあるのです。

種牡馬も繁殖牝馬も一流水準にあるので、こうした流れは当然のことと、吉田さんは胸を張っていました。

私どもとしても、生産と競走の両面で注目されることはうれしいことです。この2つは競馬の両輪です。両方が良くなければ正しい姿とは考えていなかったもので、ついついこういう話には身を乗り出してしまうのです。

ついでながら、さらなる希望を述べさせてもらうならば、日本のレースの国際的評価がもっと上がってほしいと思います。そのためには、海外からどんどん強力馬が日本の国際レースに出走してくれることです。来やすい環境づくり、何があるか、どうすればいいかが大きなテーマになっていくでしょう。


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