長岡一也の岡目八目 第34回

共同通信杯から、きさらぎ賞。クラシック前哨戦も確実に前へ進んでいます。早くから名のりを上げたものは、今はひと休み。3月が来るのをじっと待っています。

クラシック戦線が面白くあるためには、初対戦の顔合わせがいつもそこにあるということではないでしょうか。なるべくなら、その対戦が無敗同志であることが望ましく、随所にそういう場面が見られる春は、自然盛り上がります。

今年は、いま現在で3戦全勝の馬が4頭もいます。例年、冬枯れ状態に見える1月の京成杯やシンザン記念が、先行きの期待を抱くことの出来る勝ち馬が出現し、春の流れに厚みを加えてくれました。京成杯同着のヤマニンセラフィムローマンエンパイア、シンザン記念のタニノギムレット、別路線を戦いながら負け知らずのモノポライザー、そして、共同通信杯では、シンザン記念2着のチアズシュタルクが順調に勝って、次の巻き返しを狙う位置を確保しました。

これに、2歳チャンピオンのアドマイヤドンが加わります。

あと、きさらぎ賞でヒーローの座を目指すにふさわしいものが出現するかどうかですが、3月に入ってからの対戦が、今からわくわくするではありませんか。

クラシック戦線は、こうした勝ち抜きの様相を呈するときに盛り上がります。

以前は、これに東西対決というニュアンスも加わっていました。どっちが強いかというとき、所を変える両雄対決であれば、盛り上がり方は尚一層です。ところが、今は東西の距離が時間的に短縮され、遠征が常識化して、そういう期待感は薄れました。それに、西高東低が恒常化している現在、じっと成り行きを見守るしかありません。それよりも、勝つ抜き戦という競馬のスポーツ性を楽しむシーズンでしょう。きさらぎ賞で、また1頭有力馬の登場を願いましょう。


長岡一也の岡目八目 第35回

幕をはね上げ、次から次へと登場する役者たち。ここまでのクラシック戦線は、重賞レース、オープンの勝ち馬をことごとく異にする凄まじさで、その勢いは止まるところがありません。

きさらぎ賞を検分すると、今年の3歳馬のレベルの高さが改めて感じられます。

3連勝のメジロマイヤーの1800m、1分47秒6のタイムは優秀で、しかも、逃げて連勝したあとの今回は2番手で折り合ってのもの。せり合っての渋太さも見せ、朝日杯FS・5着のアグネスソニックを寄せつけませんでした。

アドマイヤドンヤマニンセラフィムローマンエンパイアモノポライザーの3戦全勝の4頭がエリート集団で、これを追うグループがタニノギムレットチアズシュタルクであり、これにメジロマイヤーが加わったというところ。互いにぶつかり合う3月戦線が楽しみになりました。

メジロマイヤーには、父がサクラバクシンオーで、母がメジロエルナスという純日本産というところに引かれます。これまで6戦、ダートの1200mで3回2着し、そのあとが芝で3連勝、連対を一度もはずしていません。

現役時代に仕事請負人と異名を取った田島良保調教師の管理馬というのも、どこかメジロマイヤーの雰囲気に合っているようです。

並んでも抜かせない粘り腰、いい根性をしているからの強さで、これから暖かくなってさらに成長をみせたときの姿がどんなか、風雲を急を告げるシーンを見てみたいものです。ラジオたんぱ杯2歳Sを渋太く勝ったメガスターダムがスタートでつまずいてリズムをくずし、不完全燃焼に終わったきさらぎ賞でしたが、メジロマイヤーの出現で大きな収穫はありました。

母はすでに他界している父内国産馬の遺児と言えば、如何にも人間的ですが、無敗のエリートに立ち向かう役どころにはぴったりです。


長岡一也の岡目八目 第36回

期待どおり、豪華メンバーの揃った今年のフェブラリーSは、確実にこの先の見えてくる結果でした。

ペリエ騎手で連覇を狙ったノボトゥルーは3着、それでも去年の勝ちタイムを上まわっていました。流れも向き、好位キープの理想的な競馬ができ、ラスト1ハロンの伸びも素晴らしくよく頑張ってくれたが、今年は2頭これより強い馬がいたとペリエ騎手は述べていました。彼の言うように、アグネスデジタルトーシンブリザードのこの先は、はっきり視界がひらけています。

白井調教師は表彰式に向かう地下馬道でこう声を掛けてきました。ねえ、ちっとも変わらないんだ、レースの前と。どこにいってもケロっとしている、大したものだと。

のちに海外のG1を勝ったタイキシャトルエルコンドルパサーも、出世する前にはダートできっちり勝っていました。アグネスデジタルについては承知のとおり。とすると、世界に通用する馬は、芝もダートも関係なくオールマイティの強さを持っているものということになります。そしてどうやら、世界のステージを目指すなら、まずダートでチャンピオンになるのが必要条件のようです。

まずドバイへ。去年2着と大健闘したトゥザヴィクトリーが今年も遠征します。新時代の幕開けの役割を果たす彼女を、アグネスデジタルはフェブラリーSで目標にして走りました。ドバイワールドCで武豊騎手がどう彼女を走らせるか。アグネスの四位騎手にとっては、次もマークできるレースのかたちになればやりやすい筈です。去年のキャプテンスティーヴの立場にいると言えるのかどうか、そう考えてもおかしくないと思えるのがうれしいではありませんか。

そして国内では、地方のトーシンブリザードトーホウエンペラーが交流重賞の主役となり、次なるドバイ遠征の夢を追い掛けることになるのです。


長岡一也の岡目八目 第37回

トウカイポイントが中山記念を、アドマイヤコジーンが阪急杯を勝ったことで、ちょっと気になることがあります。この2頭はともに6歳馬。2月終了現在で3歳戦を除く重賞は16、そのうち6歳以上馬の勝利が10にもなりました。例年6歳馬の勝利は多いのですが、この中には、7歳、8歳、9歳馬も各1頭ずつ含まれているのです。これは去年を上回るものです。年長馬の活躍には、それなりの意味もあるのですが、あの強い4歳世代はどうしたのでしょう。いつまでもこうだとは思いませんが、しばらくは気にとめて見ていきたいところです。

それにしても、トウカイポイントの勝利は見事でした。いつも地下馬道から上がってくるときに暴れていた姿を思い出します。底力はありそうだし、でもあの気性では大成しないだろうと気になる馬でした。

それが去年、春4戦したあと去勢され、その効果があって、復帰戦とその次の準オープンを2連勝、重賞初挑戦のカブトヤマ記念2着とレース振りが安定し、そのうち重賞を勝つ日もあるだろうと狙っていたのです。

トウカイポイントは、平成10年盛岡でデビューし、3歳から中央で走っています。馬名の上にマル地のしるしがついています。

中山記念でマル地馬の勝利といえば、昭和49年のハイセイコーがいますが、実にそれ以来の勝利という記録もつきました。

激しい気性をコントロールしながら、色々な距離を走ってきましたが、1800mに限れば、5戦2勝で2着が3回と連対はパーフェクト。それでも、2500mの準オープンを勝ったり、マイル戦の勝利もあって、さすがトウカイテイオー産駒らしいオールマイティの力がありそうです。後藤調教師は、気性のことは年齢が解決してくれるでしょうと語っていました。年長馬の勝利には、その戦ってきた年月だけの、それぞれの事情があって、目立たない中にも光るものがあります。


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