長岡一也の岡目八目 第64回

新潟と小倉の2歳ステークスの勝ち馬はいずれも牝馬、それも、サンデーサイレンス初年度産駒を父に持つという共通点がありました。ワナの父フジキセキは、SS産駒のG1初制覇、メイプルロードの父ジェニュインは皐月賞で産駒初のクラシック制覇と、この面でも記憶されている種牡馬です。
 
名種牡馬サンデーサイレンスの影響力の大きさを、改めて思い知らされました。
 
ところで、両ステークスとも大のつく本命馬が、いずれも、よもやの敗戦を喫する結果でした。
 
まず、新潟2歳ステークスのマルロス。ダリア賞のレコード勝ちが差し切ってのもので、追えば追うほどいくらでも伸びるのではないかという頼もしさ。ところが、中団から長い直線、内を狙ったところが一瞬出る鋭さがなく、鈍い動きで3着に終わっていました。どうも、あのもがき方は、馬場のせいではないか。16頭立ての3番枠、通常なら好枠であるものが、荒れてしまった内コース、自らの時計はつめていたのに、外からの2頭に置かれてしまいました。
 
小倉2歳ステークスの大本命チャニングガールは、初戦が追ったところなしの大楽勝で、気性に問題がなく、抑える競馬も大丈夫となれば、まず負ける筈がないとなります。
 
レースでも、逃げ馬に並びかけていつでも先頭に立てる勢い。ところが、これまた馬場の悪い内側を走らされたせいか、追われてもちっとも伸びずで4着。馬なりでいたのに初戦のタイムを下回るとは、全くわからないものです。もしかしたら、端で思うほど器用なタイプではなく、初戦のように一気呵成に走った方がいいのかもしれません。
 
ふたつのステークスを見て、荒れたインコースの状態が気になってばかりいました。新潟はあとひと開催、BからAコースに広げた効果がどう出てくるのか、このことは、案外重要なのかもしれません。


長岡一也の岡目八目 第65回

2年目に入った新潟の1000m・直線コース。アイビスサマーダッシュのカルストンライトオのように、スタンド寄りの外ラチいっぱいを走る馬は、観戦する側にインパクトを与えます。どうも、馬場の中央から外寄りを走らないとスピードに乗れないと決まっているようで、枠順からの推理は欠かせません。
 
とにかくコーナーがひとつもないので、外側を走りたくとも、運不運がついてまわります。
 
9月8日の6レース、3歳未勝利戦では、最内の1番枠を引いた田中勝春騎手のボトムラインが、どう走るかに注目していました。
 
1週前からのAコース、確かに先週は、しばらく保護されていた内は、如何にも走りやすそうでした。ところが、内回り・外回り、いずれのレースもここを走る馬が多かったせいもあり、2週目に入るとAコースの内側はそれほどでもなかったようでした。
 
ボトムラインは、スタートして迷うことなく、真直ぐ内を走っていました。スピードではひけを取らない筈で2番人気に支持されていたのですが、それだけに、自信を持って真直ぐ内を突っ走るとは思っていたのですが、どうしてもスピードに乗り切れず、外ラチぞいをテンから飛ばした15番モンマルトルシチーが逃げ切っていました。2着が、やはり外を追い込んだ14番ロードナビゲーター、3着が11番枠から外に出して先行したシルクバレンタインが入り、2・3番手を走っていたボトムラインは4着が精一杯でした。
 
併せる形になればもう少し違っていた筈と田中勝春騎手は語っていましたが、どうも多くの馬が外へ寄せ気味に走るのが1000m戦なので、そうなることは殆どありません。運が悪かったとしか言いようがなかったのです。
 
コーナーがあれば、外に自然と出せることも出来るでしょうが、この辺が、少し新潟はトリッキーなコースになっていると言えるのではないでしょうか。最後が平坦な場合、内・外の馬場差は、思う以上の結果を生みます。


長岡一也の岡目八目 第66回

バランスオブゲームのオーナー、薗部博之さんにとって、新潟は有り難いコース。セントライト記念を勝って、ここでは3戦全勝となりました。ずっと新潟でやってもらいたいとニッコリされていましたが、新潟を舞台の秋競馬は、考え方を決めてかからなければならないようです。
 
9月8日の日本海ステークスを逃げ切ったゴーステディなんか、新潟では負け知らずの4戦全勝、どうもこの種のタイプには逆らうべきではありません。
 
今年のように開催が多いと、その傾向をつかむには絶好のチャンスで、みんなが気がついているように、まず、トニービン産駒の相性の良さは記憶されていいでしょう。ゴーステディは、正にその典型です。
 
バランスオブゲームの新潟巧者ぶりを分析すれば、もっと何かつかめるかもしれません。父フサイチコンコルド、その父カーリアンが日本向きであることはよく言われています。さらにカーリアンの母がラウンドテーブルの産駒で、軽いスピード競馬に向くというのもこの辺からきているのでしょう。
 
フサイチコンコルドはこの父系の特徴に加えて、母系に重厚な血が入っていて、そこから距離に対する適性が見えてきます。
 
バランスオブゲームの母はアレミロードの産駒。ムラな面があっても、勢いに乗っているときの勝負強さはあります。この牝系からは、サッカーボーイステイゴールドなどが出ていて、気性面の課題はあっても、非凡であることは間違いありません。
 
これらを総合すると、バランスオブゲームは、スピードの優っているところから、折り合いに気をつければ、新潟のような平坦コースでは、一気にスパートして押し切れるという答えが出てきます。
 
中距離のスピードレース向きのトニービン産駒がここでいいのは、平坦コースであることと、左回りが合っている点もあるでしょう。


長岡一也の岡目八目 第67回

シンボリクリスエスノーリーズン、岡部幸雄と武豊、役者が揃うとレースに厚みが加わります。ダービー馬引退を受けた秋、どれが主役に収まるのか、G1前哨戦のひとつひとつに重い比重がかかってきます。
 
馬が主役にちがいなくとも、騎手の存在が大きいのがG1レース。ここに武豊が加わる意味は、大きいものがあります。
 
神戸新聞杯の武豊騎手は、恐らく何かを試す乗り方をするんだろうと見ていたところ、やはり、後方にノーリーズンを構えさせ、ライバルをシンボリクリスエスと定めるや、大外から直線、一気に追撃に入りました。相手がどの程度の脚を使うか、きっちり差し切れるようなら、次への展望も大きく開けるところでした。ところが、岡部騎手のクリスエスは、自ら馬群の隙間に入っていき、余裕を持っての抜け出し、しかも、迫るノーリーズンを逆に、二枚腰で引き離す充実ぶり。余力さえ感じました。
 
両者がどこで顔を合わせるかはわかりません。しかし、ともに、夏のすごし方は成功したと見られるレース振りでした。
 
これで、3歳牡馬は春の実績がものをいい、3歳牝馬は、秋は新たな勢力分布での戦いということになったようです。ただ、各有力馬がどの路線を走るのか、未だ不明というむずかしさが残りました。
 
いずれにせよ、武豊騎手が加わることで、レースの雰囲気がちがってきます。あの、馬への負荷を極力避ける騎乗ぶり、ゴールできっちり馬の力を出し尽くす騎乗ぶりには、舌を巻きます。
 
前哨戦は、それでいて次へのプラスアルファを残す乗り方で、その技は光ります。彼がここぞと思ったときには、十二分に、それまでに見られなかった力を出し切ります。信頼の手綱、それは、きゅう舎関係者のみならず、ファンの側にも伝わってきます。是非、G1戦には出場してもらいたいものです。


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